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学会発表用ポスターのサイズやレイアウトの注意点、
印刷方法を解説

学会発表用ポスターのサイズやレイアウトの注意点、印刷方法を解説

学会では、研究成果を発表するポスターセッションが行われます。いわゆる「学会ポスター」は、論文と同様、学会の規定に従って作成する必要がありますが、学会ポスターの作成方法について知識や経験がなく、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
今回は、学会ポスターのサイズやレイアウト、印刷方法など、知っておきたいポイントを解説します。デザインのコツもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

学会ポスターでよく用いられるサイズ

学会ポスターは、学会ごとに指定されたパネルのサイズに合わせて作成する必要があります。まずは、学会で一般的に指定されるパネルに合った、学会ポスターのサイズをご紹介します。

【 900×1,800mmのパネルならA0サイズ 】

学会で指定されるパネルが900×1,800mmの場合、学会ポスターにはA0サイズ(841×1,189mm)がよく用いられます。A0サイズはパネル内に収まり、なおかつ学会ポスターを見る人の視線の高さに合わせた文面を配置しやすいサイズです。A0サイズは短辺:長辺の比がA4サイズと同じ1:1.415のため、後述するPowerPointで作成しやすく、またサイズ転用もしやすいというメリットがあります。

900×1800mmのパネルに貼られたA0ポスターと1600mmの身長の人との比較

【 900×1,800mm(サブロク板)も対応できる場合も 】

一般的な掲示パネルいっぱいに収まる「サブロク板(3×6板)」と呼ばれる用紙サイズもあります。サブロク板は「3尺(910mm)×6尺(1,820mm)」を由来とした名称で、A0サイズよりもさらに多くの情報を掲載できるため、学会ポスターに採用されるケースもあるのです。なお、本記事では学会ポスターとして使用されることの多いサイズである900×1,800mmを「サブロク板」と定義しています。
ただし、サブロク板は短辺:長辺の比率が1:2と縦長(あるいは横長)となるため、A0サイズと比べると、ややレイアウトに工夫が求められるサイズといえるでしょう。

サブロク板のポスターと1600mmの身長の人との比較

【 海外の学会は日本よりひと回り大きいサイズ 】

海外の学会では、1,200×2,400mmという日本より大きなサイズのポスターがよく用いられます。短辺:長辺の比率は1:2なので、サブロク板のさらに一回り大きいサイズを想像してもらえればわかりやすいでしょう。ただ、単位がmmではなくft(フィート)・inch(インチ)で指定される場合もあるので注意してください。

〈ft・inchのmm換算表〉

1ft(フィート)304.8mm
1inch(インチ)25.4mm
海外の学会のポスターと1600mmの身長の人との比較

PowerPointによる2種類の学会ポスター作成方法

学会ポスターはPowerPointによって作成可能です。PowerPointでの学会ポスター作成には、大きく分けて2つの方法があり、それぞれについて詳しく解説します。

【 スライド1枚での作成:レイアウト自由度は高いが高難度 】

まずはPowerPointのスライド1枚で学会ポスターを作成する方法です。作成時にはサイズを設定してください。スライドのサイズは、Windowsなら「デザイン > スライドのサイズ > ユーザー設定のスライドのサイズ」、Macは「ファイル > ページ設定 > スライドのサイズ」で指定可能です。A0サイズの場合、ここに「84.1×118.9cm(841×1,189mm)」と入力します。

ただし、本来はプレゼン資料作成ツールであるPowerPointの場合、スライドサイズの最大幅は縦横ともに1,422.4mmまで。A0サイズなら問題はありませんが、サブロク板や海外発表用のような大型印刷物を作成する場合は、作成したポスター原稿を学会の指定サイズまで引き伸ばして印刷します。

スライド1枚の作成によるメリットは、レイアウトの自由度が高くなること。一方で、作成者にとってデザインやレイアウトの難度が高くなることがデメリットといえるでしょう。

引き伸ばす前提でポスター原稿を制作する際は、特に縦横比に注意しましょう。サブロク板や海外学会発表用ポスターは縦横比が1:2のため、同じ縦横比の700×1,400mmで作成してください。

〈 スライド1枚での作成 〉

スライド1枚での作成例 レイアウト自由度が高いが高難度なのが特徴

レイアウト自由度が高いが高難度

【 複数スライドでの作成:作成しやすく初心者向き 】

学会指定サイズ内に複数枚のPowerPointスライドを貼り合わせて、ポスターを作成する方法もあります。
ポスターの縦横比と使用したいスライド枚数から、1枚あたりのスライドサイズを決めます。各スライドを拡張メタファイル(.emf)あるいはWindowsメタファイル(.wmf)で保存し、ポスターの縦横比に合わせてスライドを配置すれば完成です。

複数スライドでの作成は、研究・実験結果などの要素をスライドごとにまとめられるため、作りやすいのがメリットです。特にポスター作成初心者には適しているでしょう。ただし、文字やグラフ、画像などの要素を細かく詰め込みすぎて、参加者の視認性が低下する可能性もあるので注意が必要です。また、学会や大会によっては、複数スライドでの作成が認められていない場合もあります。

PowerPointのスライドを画像(JPEGなど)で書き出し、貼り合わせていく方法もありますが、書き出した解像度によっては印刷が粗くなってしまうおそれがあります。高度なグラフィック機能がサポートされている拡張メタファイルによる作成が、最も確実な方法でしょう。

〈 複数スライドでの作成 〉

複数スライドでの作成例 作成しやすく初心者向きなのが特徴

作成しやすく初心者向き

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学会ポスターにおける構成・レイアウトのポイント

学会ポスターは発表者が自由に作成できるものの、参加者の見やすさや読みやすさを考慮して作成する必要があります。ここでは、学会ポスターを作成する際の構成・レイアウトのポイントをご紹介します。

【 学会ポスターの構成は5要素を左上から配置 】

学会ポスターの目的は、学会の場において論文要旨をわかりやすく発表するためのものです。学会ポスターを論文の各要素を要約した構成にすれば、研究の骨子を参加者にわかりやすく伝えることができるでしょう。

〈 学会ポスターを構成する5要素 〉

  • 研究の背景
  • 研究の目的
  • 研究・実験方法
  • 研究・実験結果
  • 考察・結論

5つの構成要素でセクションに区切り、各セクションには見出しを設けます。学会参加者は、見出しに沿って読み進めることで論理展開を把握できるので、研究発表の全体像をつかみやすくなるはずです。
また、人間の視線の流れは左上から右下まで順に動くといわれています。そのため、横書きのポスターは要素を「Z型」で配置することが多いですが、スライドを組み合わせる学会ポスターの場合は「逆N字型」配置のほうが望ましいでしょう。学会参加者がポスターを見ていきやすい順序を意識しながら、左上から右下へ行き着くように各要素を配置していきましょう。

逆N字型配置をしたポスターの作成例

【 視認性の高いフォントで縮小率も合わせる 】

学会ポスターは研究発表が目的ですが、論文と異なる点は手元でじっくり読む資料ではないこと。少し離れた位置から眺める人にもわかりやすいように、視認性や可読性の高いフォントを使う必要があります。ゴシック体やメイリオなど、文字全体が均一の太さで構成されたフォントを選んでください。

また、見出しと本文の区別がはっきりとしていることも重要です。フォントサイズは下記範囲内で設定し、参加者にとって情報のまとまりがわかりやすくなるよう、配慮しましょう。

〈 一般的な学会ポスターのフォントサイズ 〉

タイトル70〜90pt
見出し60〜70pt
本文32〜40pt
視認性や可読性の高いフォントの例
視認性や可読性があまり高くないフォントの例

注意したいのは、PowerPointのスライドサイズを超えたポスターを、縮小版データで作成している場合です。例えば900×1,800mm(サブロク板)のポスターを印刷する際は、同じ縦横比の700×1,400mm縮小版データを作成し、拡大印刷します。この場合、縮小版作成時のフォントサイズは同じく約78%縮小したサイズに設定してください。

〈 サブロク板用縮小版データ(700×1,400mm)作成時のフォントサイズ 〉

タイトル55〜70pt
見出し47〜54pt
本文25〜31pt

学会ポスターをデザインするときの注意点

掲示されたたくさんの学会ポスターは、参加者が一つひとつ時間をかけてじっくり見てくれるとは限りません。数多くのポスターの中で埋没しないように、わかりやすさや伝わりやすさを向上させるにはデザインにさまざまな配慮が必要です。学会ポスターをデザインするときの注意点を紹介します。

【 ひと目で「何を伝えたいのか」がわかるようにする 】

学会ポスターは、ひと目で「何を目的としているのか」「何を伝えたいのか」の要点がわかるようにデザインしましょう。情報を詰め込みすぎて文字がびっしりと並んだポスターでは、重要なメッセージが伝わりづらくなってしまいます。
要点をつかみやすくするには、箇条書きでまとめるなど文字数をできるだけ減らしてください。また、各項目に見出しをつけるのも有効です。

【 論文構成に沿って要素を配置する 】

学会ポスターは、研究の目的や過程、そして成果を伝えるための発表資料です。ベースとなる論文の構成に沿って文章を配置していくのがセオリーでしょう。研究の背景→研究の目的→研究方法→研究結果→考察/結論と時系列に沿って文章を配置していけば、参加者は要点をつかみやすくなります。必要に応じて図やグラフ・表を挿入し、視覚に訴えかけるのもポイントです。文章だけでは伝わりづらいような研究ほど、図版を用いてわかりやすく示すことを意識してください。

【 十分な余白を確保して整列させる 】

参加者にとってひと目で見てわかりやすい学会ポスターに仕上げるには、十分な余白を確保しながら文章を配置していく必要があります。仮にA0サイズのポスターであれば、目安として周囲の余白を最低30mm、項目間の余白を最低50mmは確保してください。格段に視認性が向上するはずです。

文章・図版などの各要素や項目を、グリッド状に配置することも重要なポイント。その際、項目ごとに幅がまちまちだったり、まっすぐに整列されていなかったりすれば、見る人の視線は定まらなくなり、どんなにいい研究成果も相手に伝わりません。項目の幅をそろえ、整然とした配置を意識してください。

【 色数を絞り、シンプルなデザインを心掛ける 】

研究成果の発表に用いる学会ポスターは、広告ポスターとは性質が異なります。人目を引くことが目的ではなく、「何を目的に研究しているのか」「何を伝えたいか」を重視すべきもの。使用する色数はメインカラー(テーマカラー)とアクセントカラーの2、3色程度までに絞り、色使いに規則性を持たせることがポイントです。
不安から余白を埋めようと、飾り罫やグラデーションなど過剰な装飾をしがちですが、できるだけシンプルで「研究内容の発表」に集中しやすいデザインを心掛けてください。

〈 学会ポスターのデザインイメージ 〉

学会ポスターのデザインイメージ

学会ポスターの印刷前チェックは、細心の注意を払おう

完成させた学会ポスターは、印刷前に必ず入念にチェックしてください。ミスは印刷してから気づいても間に合いません。誤字・脱字はもちろんのこと、縮小して作成したデータを実際に印刷するサイズに拡大したときの見え方などを確認する必要があります。フォントサイズは適切か、図版が粗くなっていないかなどのポイントを、複数人の目で確認しておきましょう。
仕上がりサイズでの印刷が難しい場合は、PDF形式への変換をおすすめします。PDF形式のデータは実際の印刷イメージに近く、拡大表示すればあたかも実寸の印刷物のようなチェックが可能となります。

学会ポスターをきれいに印刷する方法

学会ポスターは大型印刷物のため、一般に普及しているプリンターでの印刷は難しいと言わざるを得ません。せっかく作った学会ポスターをきれいに印刷したいなら、印刷のプロフェッショナルである印刷会社に依頼するのが良いでしょう。ここでは、印刷会社に学会ポスター印刷を依頼する際の注意点をご紹介します。

【 印刷物の納期とその後の連絡に注意する 】

印刷物の納品は、入稿してから当日~数日以内が目安です。データ納品締切までには、できるだけ日程に余裕を持って入稿しましょう。
万が一、入稿データに不備があった場合には、印刷会社とのやりとりが発生することもあります。いつ連絡が来ても対応できるようにしてください。

学会ポスター印刷はグラフィックにお任せください

学会ポスターは、学会規定サイズに則って作成する大型印刷物です。ポスターセッション用の学会ポスター作成においては、視認性や可読性に配慮したレイアウトやデザインを検討する必要があります。
さらに、用紙のサイズやPowerPointといったソフトの設定方法に対する理解を深め、適切なサイズで作成することが重要です。

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