CMYKとは?RGBとの色の違いや印刷がCMYKの理由

CMYKとは?RGBとの色の違いや印刷がCMYKの理由

パソコンなどで作成したデザインを印刷してみると、色がイメージと違って困った経験がある人も多いのではないでしょうか。画面上と印刷物で色の印象が変わる原因は、色を表現するための要素が異なることです。
パソコンやタブレット、スマートフォンなどのディスプレイ上で使われる色は「RGB」、印刷物に使われる色は「CMYK」で、表現する仕組みが違います。そのため、モニターで見ていたRGBの色とCMYKで印刷された色では違いがでてきます。
この記事では、CMYKとRGBの違いや、印刷時にRGBからCMYKに変換しなければならない理由のほか、CMYKで表現できない色などについて解説します。

CMYKは色の表現方法のひとつ

CMYKは、紙などの印刷物に使われる表現方法で、プロセスカラーとも呼ばれます。インキによる色の表現は基本的にCMYKであり、カラー印刷する場合はCMYKが標準色です。プリンターで出力する際には、家庭用も業務用も同じくCMYKで色を再現します。
※近年はCMYKにさらにインクを追加した5色、6色プリンタも存在します。

印刷物の色は、各インキをどのように配分するかの割合(濃度)によって決定します。濃度は0~100%の数値で表され、数値が小さいと薄い色、大きいと濃い色となります。
ただし、CMYKで同じ数値を指定しても、用紙や印刷機、湿度など、環境の違いによって出力される色が微妙に変わる可能性もあります。ポスターやチラシなどの印刷で厳密に色合いを追求したい場合は、イメージと異ならないよう、本印刷の前に印刷状態の確認をおこなう「色校正」を利用して確認する手段もあります。

グラフィックの校正サービス

CMYKとRGBの違い

CMYKとRGBはどちらも色を表す言葉ですが、再現できる領域が異なります。それぞれの意味と定義をご紹介しましょう。

CMYKとRGBの比較イメージ

【 CMYKはインキの三原色 】

CMYKのイメージ

CMYKは、Cyan(シアン)、Magenta(マゼンタ)、Yellow(イエロー)、Key plate(キープレート≒黒、墨)の頭文字をとって表したものです。

シアン、マゼンタ、イエローは、印刷物において色を表示する際に使われ、理論上はこの3色の組み合わせですべての色を表現できます。混ぜれば混ぜるほど暗い色、黒っぽい色へと変化するため、CMYKによる色表現は「減法混色」や「減法混合」とも呼ばれます。
しかし、実際にインキなどでシアン、マゼンタ、イエローの3色を混ぜても、純粋な黒にはなりません。CMYだけでは正確な黒色を再現することができないので、より美しく印刷するためにKをプラスし、CMYKとなっています。

なお、CMYKのKを英語のBlackや日本語の黒(Kuro)の略だと認識している人も多くいますが、それは誤り。正しくは、Key plate(キープレート)の頭文字を取ったものです。キープレートとは、画像の輪郭や罫線、文字などを表現する印刷板を指し、この印刷版によく黒が用いられていたことから、Kが黒を表す由来になったとされています。

なお、印刷で黒を表現する場合「リッチブラック」と呼ばれる設定を用いることもあります。リッチブラックはK(墨)インキにCMYインキを掛け合わせて作成する黒のことで、深みのある美しい黒に仕上がります。印刷の黒の表し方については、下記のリンクもご覧ください。

印刷の黒 4色ベタとリッチブラック(混色の黒)

【 RGBは光の三原色 】

RGBのイメージ

RGBは、Red(レッド)、Green(グリーン)、Blue(ブルー)の頭文字を取って表したものです。RGBは光の三原色であり、パソコンやタブレット、テレビといったディスプレイにおいて、光で色を表示する際に使われます。

RGBはCMYKとは反対に、混ぜれば混ぜるほど明るい色に変化し白に近づくため、「加法混色」や「加法混合」とも呼ばれます。

RGBは、表現できる色が幅広く多彩です。現在、一般的に使われているディスプレイは色ごとに256段階に調節できるため、理論上は256×256×256=16,777,216通りの色を表現できます。

ただし、注意しなければならない点もあります。それは、たとえ色の数値が同じであっても、モニターやディスプレイによって見え方が変わってしまうこと。パソコンの機種や部屋の照明など、環境によって色の見え方が異なる可能性があることを念頭に置いておきましょう。

CMYKとRGBの違いについては、こちらの記事もご覧ください。

RGB色とCMYK色について

なぜ印刷時にRGBからCMYKへ変換する?

パソコンやタブレットなど、光を使う場合の色はRGBで表現できます。しかし、印刷は光ではなくCMYKの4種類のインキで表現するため、印刷データも実際のインキに合わせる為に、RGBからCMYKへ変換しなければなりません。

CMYKは、RGBより表現できる色が少なく、モニター上で見える鮮やかな色は、CMYKのインキでは表現できません。ですから、パソコンで作成したRGBのデータをそのまま印刷会社に入稿しても、見えているとおりの色には仕上がらないのでご注意ください。もし、RGBのデータを特に加工せずそのまま印刷すると、一般的には少しくすんだような色になります。

【 RGBからCMYKへの変換方法 】

Adobe IllustratorやAdobe Photoshopなど、デザインソフトでデータを作成する場合は、始めに初期設定のカラーモードをCMYK に変換しておきましょう。RGBで作成している場合は、印刷会社へ入稿する前に、CMYKに変換しなければなりません。Illustrator やPhotoshopには、変換するためのメニューが用意されていますので、事前に確認してください。

特色のイメージ

上記は、PhotoshopデータをCMYKに変換する際の画面です。「イメージ」のタブを開き、メニューの中の「モード」を選んだら、変換先のカラーモードである「CMYKカラー」を選択してください。
ただし、RGBからCMYKへ変換した後、再度CMYKからRGBへ変換しても、元の鮮やかな色合いには戻りません。CMYKへ変換する場合は、元データのバックアップをとってから作業すると安心です。
変換前に、プレビューで色合いを確認する方法もあります。Photoshopの場合は「表示」のタブを開き、校正設定のメニューを選択。「作業用CMYK」にチェックを入れて再度「表示」のタブに戻り、「色の校正」を選択すると、プレビュー表示が可能です。

紙などに印刷する場合は、入稿前にRGBからCMYKに変換するのが基本ですが、印刷会社によってはCMYKへの変換を代行してくれる場合があります。
また、発色に関しては通常の印刷とは発色の異なるインキを使ったり、デジタル処理でRGBをCMYKに変換する印刷機を使ったりすることで、くすまない色で印刷が可能です。RGBのままで印刷できるかどうかは、入稿の前に印刷会社に問い合わせてみてください。

グラフィックの印刷サービスでは、特殊な高彩度トナーを使い、RGBカラーを色鮮やかにプリントするメニュー「ビビッドカラープリント」をご用意しています。

ビビッドカラープリント

CMYKで表現できない色と特色

CMYKは、RGBより再現できる色の幅が狭いとされています。色を混ぜると暗くなる減法混色(減法混合)のため、特に鮮やかな色、薄い色は表現が難しいです。

〈CMYKで表現できない色〉

  • 白色
  • 金色や銀色などのメタリックカラー
  • 蛍光色(ネオンカラー)
  • パステルカラー

特色のイメージ

印刷を前提にデータを作成する場合は、あらかじめCMYKで表現できる色を考慮しておかなければなりません。

ただし、企業のコーポレートカラーや複雑な色表現などで、CMYKで表現できない色を使いたいケースもあるでしょう。その場合、CMYKにプラスして、「特色(スポットカラー)」を使用する方法があります。
特色とは、CMYKでは再現できない色を表現するために、特別に調合されたインキのこと。CMYKは4つの色を掛け合わせて中間の色を再現しますが、特色はあらかじめその色のために調合された、単色インキを使用します。

特色を使って印刷する場合は、膨大な種類があるため、一般的に主要なメーカーの色見本を使って色番号を指定します。DIC株式会社の「DICカラーガイド」やパントン社の「パントン・ソリッドチップス」などが有名です。どの印刷会社でも、すべての特色に対応しているわけではないため、見積りや注文の際に、特色を使いたいと相談しておくと安心でしょう。

グラフィックの印刷サービスでは、特色インキ(DICカラー)での印刷メニューをご用意しています。金や銀、蛍光インキなど、CMYKだけでは再現できない色を表現することが可能です。

特色インキ

CMYKは印刷の色の表現方法

CMYKとRGBは、どちらも色を表現するものではありますが、表現する仕組みに違いがあり、印刷の際はCMYKでデータを作ることが基本です。
トラブルが起きないよう、RGBとCMYKの特徴や、CMYKだけでは表現できない色、特色の使い方についてしっかり把握しておきましょう。

グラフィックへご入稿いただく際には、入稿ガイド(テクニカルガイド)で印刷データ作成に役立つ情報や入稿手順をご案内しています。

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