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HOUXO QUE × GLCLEE DE GRAPHIC 立体作品「time line」メイキングドキュメントプリントとペイントが融合した新しいアートの試み

ブラックライトに照らされた薄闇の中、蛍光塗料を使ったライブペイントによって、妖しくも美しいオブジェクトが次々と浮かび上がっていく・・・。そんな独自の創作スタイルで世界的に注目を集めるアーティスト・Houxo Que(ホウコォ キュウ)さんが、ペイントと美術印刷「ジークレー・ド・グラフィック」を融合した、新たな立体作品の創作に挑みました。 自身のペイントの過程を段階ごとに撮影し、それをジークレーで透明フィルムにプリント。その過程が記録されたフィルムを透明アクリルボードに挟み込んで重層化することによってカラーを浮き立たせ、創作の時間軸をもイメージできるような立体作品にしようというのです。従来ペイントは二次元のアートでしたが、今回はそんな常識を打ち破る試みとなりました。

特設スタジオで「Print & Paint」のプロセスを記録。

Queさんの新たなペイントの試みは、当社の撮影スタジオに専用の設備が組まれ、手探りの中で始まりました。作業台の上には下絵用の用紙「カキタ」。真っ白な正方形の用紙が用意されました。その真上の天井に俯瞰撮影のためのカメラを設置。そして左右から作品を照らすブラックライトと、その背後には撮影用のストロボが立てられています。

室内の照明が消され、ブラックライトだけの薄明かりの中、創作が始まりました。ペイントに使われるのはもちろんすべて蛍光塗料。張りつめた空気の中最初のカラーが真っ白な紙の上に滴り落ち、光の痕跡を残します。この時点でまず1回目の撮影。その上から第2の色、第3の色と手が加えられ、複雑な輝きを放つ模様や滲みを作っていきます。ある時は繊細に、ある時は大胆に色と色が干渉し合い、だんだんと白い紙がすき間なく色で埋まっていきます。その様子を段階を追って小刻みに俯瞰カメラで撮影。

Queさんが撮影画像を即座にPC画面でチェックしながら進行し、完成に至るまでに20カット以上の「過程」を撮影することができました。しかしこれらはまだ下絵の段階。すべての写真がジークレープリントによってフィルムに転写され、それを透明アクリルボードに挟み込んで重層化することによって、色の重なりが立体的に表現されることになります。

印刷とペイントを融合したこの表現手法、
テーマは「Print & Paint」と名付けられました。

Print & Paintの手法

  • ● Queさんが下絵用紙にペイント。
  • ● その過程を小刻みにコマ撮り。
    ※実際の撮影では、創作過程を20カット
    以上記録しています。
  • ● 各過程の絵柄の撮影画像を
    「ジークレー・ド・グラフィック」で
    420ミリ四方の透明のフィルムにプリント。
  • ● プリントされたフィルム1枚に対して厚さ5ミリの透明アクリルボード2枚を重ね、順に積み重ねていくと、ペイントの過程をも垣間見ることができる立体作品が完成。下方からライトを当て、カラーを浮き立たせます。

Making Movie

スペシャルインタビュー アーティスト・Houxo Queさんに、
今回の創作についてお話を伺いました。

---今回、Queさんのペイントとジークレープリントのコラボレーションということで、当社のスタジオで制作過程を間近に見せていただくことができたのは本当に面白い体験でした。そもそも作品にジークレーを取り入れようと思われたのはどうしてでしょうか?

Que:やはり広い色幅が表現できるところですね。僕が使う蛍光塗料の色調がすごく特殊なものですから、それを印刷で再現できるとはそもそも思っていなかったんです(笑)。でもジークレーなら、かなりの精度で色を再現できます。

---Queさんの作品は、これまでのライブペイントで示されてきたように、「色」というよりも「光」の印象が強いですよね。この蛍光塗料はQueさんにとってどのような素材なのでしょう?

Que:僕は東京出身で、子どもの頃から時にネオンであったり、工事現場であったりとか、すごく原色で強い光に囲まれていたんです。東京は消費文化の極地みたいなところですので、消費を促進するような目を引く色が広告に使われています。だから蛍光色を使うのは僕の子どもの頃からの心象風景を体現している部分でもありますし、東京出身の作家としてのオリジナリティーだと思います。

---今回は、これまで取り組んでこられた「ライブペイント」とは少し捉え方が変わって、「Print & Paint」というテーマが出てきました。これにはどんな意図があるのでしょう?

Que:視覚的な情報の複製というのは、産業革命以前はすべて絵画の機能だったんですよね。それが写真や印刷技術が発展してきたことによって、絵画が持っていた機能が徐々に奪われていきました。そして最近ではデジタル技術によって複製の精度がどんどん高くなってきて、単純に視覚情報を示すという意味では、絵画は完全にその機能を奪われたと言えます。そして一方で、複製がもはや網膜的にオリジナルと差異を感じとれないほどに高度な技術に達したことで、それはもう単なる「コピー」ではないと考えたんです。

例えば僕の作品をプリントとして複製したとき、コピーに比べてオリジナルのほうが、そこに絵の具が存在していたりして、作品自体が持つ圧力が勝っていると思います。そういう意味ではオリジナルとコピーの境界は絶対にあると思います。しかし対立させるのではなく、オリジナルとコピーが一つの作品の中で渾然一体となった時に、両者の境界が限りなく曖昧になっていく・・・。これは、ジークレーという精巧な複製技術の拡張があるからこそ可能になることだと思います。

また今回のように、一つ一つの作業手順を記録して複製・プリントする作業は、手作業でやろうとすると、決して不可能ではないですがその労力が尋常ではない。作家自身の身体性、フィジカルな部分も印刷技術によって拡張されていきます。そういった意図をもって、一言で「Print & Paint」というテーマが出てきました。

---Queさんにとっても初めての試みで、実際に作業をされてみていかがでしたか?

Que:グラフィックさんは印刷分野の専門の技術をお持ちですので、そういう技術を持つ方との共同作業をすることで、僕自身が持っていないノウハウを与えてくださるというのはすごく刺激的な経験でしたね。作家としての表現手法は、今まで自分で積み上げて、磨き上げてきたものですが、逆にそれゆえに他のノウハウを持つことが難しかったりします。印刷するために撮影からいっしょにやるとう行為は、作家と工房の良い関係として成立していると思います。

---そんな作品のタイトルには「time line」と名付けられました。どんな意味があるのでしょう?

Que:「time line」には、一つの時間軸の俯瞰という意図が込められています。重層化されたアクリルの最下部は透過率によってもう薄っすらとしか見ることはできない。それは僕らが感じる時間の在り方に近いように思えるからです。僕らは過去を持ち、未来へ向かって生きてはいますが過去をもう一度見ることはできないし、未来も見通せない。そんな届かない、見えないものを一つの作品として閉じ込められないだろうかと考えて生まれてきた作品です。

---ありがとうございます。完成作品が京都発のアートフェア「ART KYOTO 2012」で公開されるのを楽しみにしています。これからも、私たちの常識とか日常の感覚を揺さぶってくれるような面白い作品を期待しています!

HOUXO QUE x GICLEE DE GRAPHIC「time line」公開された完成作品はこちら ART KYOTO 2012 【ART KYOTO 2012 イベントレポート】

Houxo Que ( ホウコォ キュウ )
まるで花をいけるようにモチーフの魂と生命力を画面にいけてしまう美術家。蛍光塗料とブラックライトを使用した作品"Day and Night"シリーズをはじめ、狂おしく美しい作品を多数生み出している。展示会やライブペイント、壁画制作、ブランドとのコラボレーションなど、世界を舞台に活躍中。
http://www.quehouxo.com/

現代アーティストのための新しいプリントテクノロジー ジークレー・ド・グラフィック